商品説明
詳細情報
作曲:信長貴富
作詩:石原吉郎
A4判/76頁
グレード:中〜上級
演奏時間:約25分
ISBN 978-4-7609-1777-8
カンティ・サクレとうた・ふぐるまのジョイントコンサートの合同演奏曲として2016年1月に初演された。
石原は「シベリア抑留」の経験を文学的テーマに昇華した戦後詩の代表的詩人。戦争の悲惨さを声高に歌うのではなく、言葉の本質を捉えようと作曲された。
ピアノの他にチェロを用いることで、より深みのある音色が生まれ、女声合唱の高音の響きに相対するチェロの響きが詩の世界を深く表現している。
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1. 麦 (5’50')
2. 月明(3’40')
3. 自転車にのるクラリモンド (3’30')
4. 悪意 ─異教徒の祈りから─ (6’20')
5. 水よ (5’40')
<まえがき>
石原吉郎(1915〜1977)と言えば、「元シベリア抑留者」というワードが付いて回る。確かに、彼のバックボーンを知ることは、難解な暗喩を氷解させ、詩人の心の深層に近づく手がかりを得ることにつながる。(抑留体験に関する一連の随想、特に「ペシミストの勇気について」は必読である。)一方、石原の無名時代、投稿作品の選者を務めた谷川俊太郎が、「作者の経験についてなんの知識ももっていなくとも、石原さんの詩にはあらがい難い魅力があって、投稿作品の中で群をぬいて目立っていた」と述べているように、優れた作品には説明の必要がないというのもまた真実であろう。音楽もまた然り。作曲にあたっては、詩人の経歴に過度に感情移入することは注意深く避けなければならないと考えた。本作のねらいは、戦争のもたらした悲劇を告発する点にはない。敢えて言えば、石原の選び抜かれた言葉の中に芸術的普遍性を見出すことだろうか。
「天のほか ついに 指すものをもたぬ無数の矢」である「麦」(第1曲)が象徴するものとは何か。日本軍に応召される以前からキリスト教に傾倒し、帰還後も信仰を保った石原に、「主よ、あなたは悪意をお持ちです」(第4曲「悪意」)と言わしめたのは何だったか。全てを抑留体験に結びつけて解釈することには異論もあろう。しかし、極限状態を経験した人間だからこそ到達できる言語的境地があることを、石原の詩句は示している。芸術的普遍性とはそのようなものだと思う。
作曲にあたってピアノのほかにチェロの音色を必要とした。女声合唱の普遍的な響きに相対する具体的な存在を欲したからである。言葉を持たない剥きだしの魂とでも言おうか。
信長貴富
・版型:A4
・総ページ数:76
・ISBNコード:9784760917778
・JANコード:4962864917770
・出版年月日:2016/08/01
【収録曲】
・麦
作曲:信長貴富 作詞:石原吉郎
・月明
作曲:信長貴富 作詞:石原吉郎
・自転車にのるクラリモンド
作曲:信長貴富 作詞:石原吉郎
・悪意 ─異教徒の祈りから─
作曲:信長貴富 作詞:石原吉郎
・水よ
作曲:信長貴富 作詞:石原吉郎
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女声合唱・チェロ・ピアノのための 麦 / カワイ出版
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