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★あまりにも偉大なバッハ★
ヨハン・ゼバスティアン・バッハは、音楽史上でも屈指の偉大な作曲家です。没後250年以上も経つというのに、その作品は、今もCD録音や演奏会でさかんに取り上げられているというだけではなく、ジャズをはじめとする現代のさまざまなミュージシャンによって繰り返しアレンジされ、親しまれています。バッハの一族には作曲家が多いので、とくにJ.S.バッハのことを「大バッハ」と呼ぶことがあるのもご存知でしょう。
ヘンデルやテレマンが、イタリア音楽やイギリス音楽から明るい洗練された趣味を学んで自分の作風を作り上げていったのに比べると、バッハの場合は生涯ドイツの宮廷や教会から外に出ることのなかった、ある意味ではもっともドイツ的な作風の作曲家だと言えるでしょう。しかし、そのバッハが、テレマンやヘンデル以上の普遍性を獲得し、高い評価と人気を得ている。この事実からは、いろいろなことを考えさせられます。
★リコーダー曲の作曲家としてのバッハ★
大バッハには、残念ながら、チェンバロ伴奏(通奏低音伴奏)でリコーダーが演奏するように意図されたとみられる作品はみつかっていないようです。「フラウト・トラヴェルソ」と呼ばれるバロック時代のフルートのための曲ならばたくさんあるし、また、管弦楽曲や声楽作品でリコーダーを用いた例はたくさんあるのですが・・・。
ことに、「ブランデンブルグ協奏曲」とよばれる6曲セットの管弦楽曲集においては、その2番と4番とでリコーダーが独奏楽器の一つとして取り上げられ、大活躍しています。(探査機「ボイジャー」に積み込まれた地球文化を代表する芸術作品にもこれらの曲が選ばれたそうです。つまりリコーダーは地球を代表する音楽でもちゃんと活躍しているわけですね。) しかし、独奏ソナタとなると、バッハはフラウト・トラベルソのほうを好んだようなのです。
★バッハのフルートソナタなどをリコーダーで演奏すること★
そこで、リコーダーJPでは、バッハがフラウト・トラヴェルソやヴァイオリンなどを指定している独奏曲を、リコーダーで演奏しやすいように移調したり少し直したりした楽譜と伴奏CDを制作しています。ある楽器のための曲を別の楽器に移植することは、バロック作品において当時からはしばしば行われていたことです。
ただやはり、概して、演奏はなかなか難しいのです。テレマンなどが「指回りが速いために難しい」のに対して、バッハの場合は「音が複雑な動きをするので難しい」傾向が強いように思われます。
しかし、音楽としての良さは最高ですから、がんばり甲斐はあります。テレマンと同じで、ゆっくりな楽章ならずいぶんやさしいですし、速い楽章についても、リコーダーJPは練習用のゆっくりな伴奏も、またその切り分け部分伴奏もCDに収録してお届けしますから、無理のない形で、じっくりと腰を据えて取り組んでいただけます。今後長い間たいへん息の長い楽しみを提供してくれる、最高の価値のある曲たちだと言えるでしょう。
★ フーガの技法は、J. S. バッハ晩年の傑作・・・という以上に、彼の最後の未完の大作です。ひとつの基本主題をもとに、いろいろな技法を駆使した多数のフーガを作って曲集にしました。
★ 「フーガの技法」には、楽器の指定がありません。弦楽四重奏で演奏したり弦楽合奏で演奏したり、またオルガンやチェンバロで弾いたり、いろんな演奏が行われている中、リコーダー重奏による演奏もよく行われます。
★ alla Decima(10度による)という副題がある二重フーガです。冒頭に示される、導音から始まる特異な主題と、23小節から第2主題として導入されるこの曲集の基本主題(付点リズムに変形され、さらに反行形になったもの)が、やがて組み合わせて演奏されるようになります。
そのさい、10度(つまり1オクターブ+3度)ずらせても合うように作られているため、主題を10度音程(3度音程)で隔てられた2声部で唱和させながら演奏することができるのです。
そこで、曲の最後のほうでは、いろいろな旋律がそのような美しいハーモニーで歌われます。
★ 7分から8分ほどもかかる長大なフーガで、Contrapunctus 8 との関係が深い作品です。この両作品は、互いに共通の主題(反行形にしたりしながらですが)を持ち、規模・長さも似通っていて、まるで双生児のようです(音楽の内容は全く別モノですが)。
最初に示されるのは曲集の「基本主題」を休符交じりの旋律に変えた変奏です。途中から出てくる第2主題は、Contrapunctus 8では曲の冒頭に示されていた主題(を反行形にしたもの)です。さらに終盤近くなって、八分音符の同音連打を含む特徴的な主題が示されますが、これもContrapunctus 8に出てきた主題(第2主題)の反行形なのです。
★ 「フーガの技法」の初版譜では第12番 (XII)として、Contrapunctus Inversus XII と題された1対の作品が置かれています。Contrapunctus Inversus とは「転回対立」ぐらいの意味になりますが、その真意は、「転回対位法」によって、楽譜全体(スコア)を鏡に映したように上下反転させても演奏できるように作られた1対のフーガであるという点にあります。
★ ただ、初版では、奇妙なことに、先に「Inversus(転回形)」と題された曲が置かれ、続いて「Rectus(原形)」が置かれています。ここに取り上げたのは「原形」のほうで、これを弊社版では「フーガの技法 第12番」といたします。
★ せっかくのバッハの苦心の成果を理解するためには、バッハ全集版のようにこの2曲(原形、転回形)のスコアを上下に並べて印刷してある楽譜を見ると、たしかにまるで間に鏡を置いて映したかのように音符が上下逆になっている様子が一目でわかります。
・ISBNコード:9784862665713
・JANコード:4571325246498
・出版年月日:2015/12/01
【収録曲】
・J. S. バッハ フーガの技法より 第10番(Contrapunctus X)
作曲:バッハ
・J. S. バッハ フーガの技法より 第11番(Contrapunctus XI)
作曲:バッハ
・J. S. バッハ フーガの技法より 第12番(Contrapunctus XII Rectus)
作曲:バッハ
※収録順は、掲載順と異なる場合がございます。
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SR−086 J.S.バッハ フーガの技法 第4巻 / リコーダーJP
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